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備前焼Q&A_17
備前市探検隊
土の良さを生かして焼く技術と書いてあるのですが、具体的にどのような技術なのでしょうか?
備前の粘土はうわぐすりを使わないで、粘土で作ったままの物を登り窯で焼くとりっぱな備前焼になる。これが土の良さじゃ。
備前の粘土は、急に乾燥したり焼くとき急に温度を上げたりすると割れたりしやすい土じゃ。焼き物の原料としては、たいへん扱いにくい粘土じゃ。よく、備前焼ではない焼き物を作っている人が備前の粘土で作品を作ってみたが、全部失敗してしまったということがある。扱いにくい土を使って失敗しないようにするのが、備前焼の技術なんじゃ。
土を風雨にさらして、どろどろになったらどうするのですか?
風雨にさらした粘土は、また乾かしてから水の入ったタンクにいれてきかいなどでよくかきまぜてどろ水にする。このどろ水を石やゴミを取りのぞくきかいに通して取り、さらに砂を取りのぞいて焼き物になるこまかい粘土だけにするんじゃ。このどろ水の水分をきかいでしぼったり、素焼きのはちに入れててきどなかたさになるまで、自然にかわかしてやる。こうしてできた粘土は、さらによくねってから使うんじゃ。
土を風雨にさらして、雨や風で土がなくなってしまいませんか?
備前の粘土は、たいへん粘り気が強く、雨水が土のなかまでしみこんでいくことはないので、積んである土が全部どろどろになることはない。表面のわずかな土はながされますが、なくなってしまうことはないんじゃよ。
製品の良い悪いは、どうやって見分けるのですか?また、悪い物はどうするのですか?
製品の良い悪いは、焼きが良いか悪いかでほとんど決まる。良い色に焼き上がっているかどうか、もようのつき具合はどうかなど見分けて、良い製品と悪い製品に分ける。また、形が良いか悪いかによっても決まる。悪い製品は割ってしまうんじゃ。
大量生産の方法は?
たくさんの焼き物を作るには、いろいろなきかいを使えばできる。しかし、備前焼ではそのようなきかいは使わないで、人間がひとつひとつていねいに作っている。だから、備前焼は工場などで流れ作業をして作るような大量生産はできないんじゃ。もし、大量生産をしようと思えば、たくさんの人をやとって仕事をしてもらわなくてはならない。備前焼で一番大きな窯元では、60人くらいの人がはたらいているんじゃよ。
なぜ10日間も窯をやかないといけないのですか?
この粘土は、焼くとき急に温度を上げると割れてしまうので、ゆっくりと温度を上げなければならない。また、備前焼の色やもようは、作品に炎が当たることによって土の成分が変化してつく。焼く時間がみじかいとあまり良い作品は焼けないんじゃ。
どうして、登り窯は今のようなしくみになっているのですか?
登り窯ができる前の窯は、部屋と部屋を分けるかべのないトンネルのような窯(穴窯と呼ばれている)が使われていた。穴窯の場合、炎は天井のほうばかり流れて、窯の下の方にはあたらない。したがって、窯の下の方の作品は良く焼けなかったのじゃ。登り窯のように、部屋と部屋を仕切るかべがあると、天井のほうに上がった炎がまた窯の下のほうにおりて次の部屋に流れる。炎が上がったり下がったりすることで、その部屋の温度が上も下も同じようになるんじゃ。登り窯は、いくつかの部屋が後ろへつながっている。前の部屋を焼いているときには、後ろの部屋は前の部屋の余熱で温度が上がるようになっているんじゃ。まきをもやして出るねつを有効に利用するんじゃよ。
たくさんおしえてくれてありがとう。伝統工芸品の勉強がとても楽しくなったよ。
もう質問はないかな?
また思いついたらいつでも聞いてくれればいいぞ。