市立備前病院「脳神経外科」

常勤医師山田 高嗣杉浦 智之

 当院脳外科は、平成14年より脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等の脳血管障害の治療をより迅速、積極的に行うべく、施設・設備の充実、脳外科スタッフの専門性を重視した厳しい教育と訓練を中心に、日々、努力、精進いたしております。
脳外科スタッフ 脳外科疾患は、一刻も早い診断と治療を必要とするため、脳外科スタッフ一同、旺盛なる士気をもって24時間体制で治療を行っています。
  平成16年3月には、脳梗塞発症後、直ちに症状の改善を目的とした脳血管内手術を施行するべく最新式の脳血管撮影装置の設置を完了し、たとえ夜中であっても岡山大学脳外科血管内治療専門医グループの協力のもと、迅速な治療が開始できるようになりました。
 
脳神経外科の扱う疾患には、脳梗塞脳内出血・くも膜下出血脳ドック脳腫瘍 などがあります。
※ 下線文字をクリックすると、解説がご覧になれます。

脳梗塞
 脳の血管が詰まってしまう病気で、右手足、もしくは左手足に力が入らない(いわゆる半身麻痺)というのが最も一般的な症状です。これに加えて失語(言語が理解できない)という特殊な症状を呈することがあります。ほとんどの場合、頭痛はありません。
 しかし、我々脳外科医でも、脳内出血との区別が難しい場合も少なくなく、CT撮影で確定診断の後、当科では、直ちに脳血管内手術を行い、症状の改善を図るとともに、粘り強く治療を続けております。
発症時間、年齢、脳血管の閉塞部位等の制約もあることは事実ですが、直ちに当科へ搬送しなければ、何事も始まりません。
脳梗塞発症後に行う脳血管内手術について

 脳梗塞は予防が一番です。
 しかし、一旦、脳梗塞に罹患し、手足の麻痺等の症状が出現すれば、迅速に治療を開始しなければ症状の改善は望めません。
 時間との勝負です。
 現在、行われている脳梗塞急性期の治療の中で最も効果があるのがこの脳血管内手術です。
 手術といっても手術室で行うのではなく、ましてやメスで皮膚に切開を加えるものでもありません。レントゲン室で行います。
 脳血管内手術は、足の付け根から血管内に細い管を入れ、これを脳の血管へと進め、詰まった血管を再開通させることを目的としています。
術中のレントゲン室 まさに治療中のレントゲン室の風景です。
 岡大脳外科の杉生講師と当院の杉浦医師の2人で行っています。
術前の脳血管撮影■手術前の血管撮影像

 右中大脳動脈が閉塞しています(矢印)。
 このため左手足の完全麻痺を来たしていました。
術後の脳血管撮影■手術後の血管撮影像

 手術前の写真と比べて頂ければよくわかりますが、見事に右中大脳動脈は開通し、血流が再開されました(矢印)。
 当院は、脳血管内手術専門医の資格を有する岡大脳外科血管内グループの医師達の協力のもと、脳血管内手術を積極的に行っております。
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脳内出血・くも膜下出血
 脳内出血は、読んで字の如く、脳内の出血。では、くも膜下出血は?
 実は、脳の外の出血なんです。脳内の出血は、細い血管が破れたもので、出血量は多くはなく、くも膜下出血は脳表の大血管が破れたものですから、出血量は多いのです。くも膜下出血は頭全体に広く、大量の出血を来たします。いずれも突発する激しい頭痛を特徴とします。CTで確定診断できます。
 直ちに当科へ搬送し、手術しなければならない病気です。
脳内出血の手術について

 大きな脳内出血に対して、救命の目的で、顕微鏡下に行います。
 時間的余裕がないため、迅速な決断と操作が要求されます。
脳内出血の手術(1)■脳内出血の手術(1)

 画面中央やや上の赤茶色のものが、出血した血腫(血のかたまり)です。
 脳の表面に切開を加え、丹念に血腫を除去します。
脳内出血の手術(2)■脳内出血の手術(2)

 血腫はすべて除去されました。
 健常な脳の表面が見渡せます。

くも膜下出血の手術について

 くも膜下出血はほとんどの場合、血管にできた動脈瘤というこぶが破裂して起こります。まずは、脳血管を撮影して動脈瘤を発見し、よく観察して、戦略を練ったうえで、手術を施行します。(これを我々はStrategyと表現します)
 動脈瘤の発生場所によっては、頭皮を切らずに血管内手術によって、カテーテルを使用し、治療することもできますが、ほとんどの場合は、やはり手術が必要です。
 手術は動脈瘤に特殊なクリップを装着し、再破裂を防ぐ目的で行います。
くも膜下出血の手術(1)■くも膜下出血の手術(1)

 頭の奥深く、ほぼ中央に位置する動脈瘤の手術の最初の段階です。
 慎重に、くも膜を切離し、脳の表面に沿って、奥へ奥へと進んでいきます。
 赤く見えるのが、くも膜下の出血です。
 大量に出血していることがわかります。
 もちろん、肉眼での手術は難しいため、顕微鏡下で行います。
くも膜下出血の手術(2)■くも膜下出血の手術(2)

 画面中央に動脈瘤が見えます。
 左側に大きな穴があり、ここが出血源と考えられます。
 ていねいに動脈瘤の全周を剥離し、最終段階へと進んでいきます。
くも膜下出血の手術(3)■くも膜下出血の手術(3)

 クリップを装着しようとしています。
 最も緊張する瞬間です。
 知識と経験が要求される手術です。
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脳ドック
 頭の血管障害は、予防するのが一番です。
 予防しなければいけない病変はないか?あるいは高コレステロール血症等の危険因子はないか?それを調べるのが脳ドックです。
 何もなければそれが一番。脳外科医の治療を受けずに一生過ごせれば、それが幸せです。その時は「お金の無駄遣いをした」と思って喜んでください。
 逆に、何らかの指摘を受けたとしたら、「脳ドックを受けた甲斐があった」とこれも喜んでください。
 今の医学であれば十分に予防することができますから。
 当科では、予防的に血流改善を目的とした
 脳血管バイパス手術
 頸部内頸動脈内膜剥離術等の外科的処置を行うことができます。
脳血管バイパス手術について

 頭皮の血管と脳の血管をつなぐ手術です。
 頭皮にも、脳と同じ血液が流れていますので、脳にとって不足している血液を、頭皮の血液で補ってやろうというものです。
 脳梗塞後の症状の改善及び脳梗塞予防の目的で行います。
脳血管バイパス手術(1)■脳血管バイパス手術(1)

 頭皮の血管は直径1.5mm。
 脳の血管も同じく1.5mm程度です。
 顕微鏡下に2つの血管を縫い合わせます。
 両血管の切断端を視認しやすくするため、紫色の無害な染料を使って染めています。
脳血管バイパス手術(2)■脳血管バイパス手術(2)

 縫合の最中です。
 髪の毛より細い糸で、ゆっくりとていねいに縫い合わせます。
 日々の訓練と集中力が要求されます。
脳血管バイパス手術(3)■脳血管バイパス手術(3)

 縫合が終了しました。
 両血管とも、「パン」とふくらんで良好な血流があることを示しています。
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脳腫瘍
 脳腫瘍の50%は良性のものです。たとえ、症状が出ていても、手術をすることで、治癒する可能性があります。
 悪性の脳腫瘍に対する治療も、最近の進歩は著しいものがあります。
 手術のみならず、放射線治療、抗癌剤の進歩はめざましく、新たに免疫療法も加わり、当科で十分な治療が難しいと判断すれば、直ちに岡山大学脳外科脳腫瘍専門医グループの協力のもと、転院を含めて迅速かつ万全の処置を行います。
 脳腫瘍は、組織型から分類すれば、多種多様であり、患者様個々にとって最良の治療法は千差万別と言っても過言ではありません。やはり、脳腫瘍専門医の意見に従うことが重要であると考えています。今は、E-mailという大変に便利なものがあり、フィルムの転送も素早く行うことができます。
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