U 研究の実践
 
1 人権・部落問題学習
 
(1)基本的な考え方
 
 同和問題をはじめとする人権問題にかかわる差別意識の解消を図るためには,児童一人一人が主体的に学習に取り組み,自分自身の課題として考えていく中で同和問題をはじめとする人権問題について基礎的理解を深めていくことが大切である。また,日常生活の中で見られる不合理や矛盾に気づく力や解決に取り組もうとする意欲を高め,課題解決の実践力を育成していくことも大切であると考えている。
 そこで本校では,人権・部落問題学習を進めるにあたって,国語科・社会科・生活科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間を中心に,指導の重点とする単元や題材,主題等を年間指導計画に位置づけ,教科・領域の関連を図りながら,計画的・系統的に指導する。
 
【国語科】
 
 国語科の目標は,「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力及び言語感覚を養い,国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。」ことである。
 人権教育及び同和教育という観点からは,だれに対しても憶することなく自分の思いを正しく伝えたり,他者の思いをていねいにくみ取ったりする表現力および伝え合う力を育てていくことが大切であるととらえている。
 また,優れた文学教材を通して,その作品の中に描かれた人間の生き方や考え方を言葉を大切にしながら読み取る中で,人間の優しさ・たくましさなどにふれ,それに感動したり共感したりして,一人一人の人権を尊重する豊かな感性を育てていくことが大切であるととらえている。
そこで,本校では指導の重点を次のように考えた。
○普段の授業の中で,聞き取りや発表など自分の思いや考えを他者に伝えたり,受け取ったりする学習を計画的に実施することにより,表現力や伝え合う力を養う。
○文学教材学習において「温かい心の交流」「お互いを思い合うことの大切さ」、「思いやりの心や本当のやさしさ」「共に生きていくことのすばらしさ」などを読み取ることにより一人一人の人権を尊重しようとする豊かな感性を培う。
 
【社会科】
 
 社会科の目標は,「社会生活についての理解を図り,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,国際社会に生きる民主的,平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。」ことである。
 人権教育及び同和教育という観点からは,同和問題をはじめとする人権問題についての基礎的理解を深め,人権尊重の精神を培っていくことが大切であるととらえている。
 同和問題の基礎的理解を深めるための部落問題学習は第6学年を中心に取り組む。部落差別の不当性に気づき,部落差別解消への歩みを理解するとともに,解決への展望をもつことができるようにすることが大切である。また,他の人権問題についての理解を深める学習もおこなっていくが,児童が無理なく理解できるようにするためには,児童の発達に即してこれらの基礎となる学習に取り組む必要がある。
 そこで,本校では指導の重点を次のように考えた。
 
〈中学年〉地域の人々の願いや生活の維持・向上のための努力・工夫について理解し,正しい職業観や勤労観を育てるとともに,社会の中の不合理や矛盾に気づく力の基礎を育てる。
 
〈第5学年〉産業に従事する人々の努力や工夫について理解する中で,正しい職業観や勤労観を育てる。また,公害に苦しむ人々の願いや公害を防ぐための努力等,様々な事象から社会の中の不合理や矛盾に気づく力を育てる。
 
〈第6学年〉部落問題学習を中心に取り組むとともに,女性・子ども・高齢者・障害者・アイヌの人々・外国人などの人権問題についても基礎的理解を深めることにより,人権意識を高め,課題解決の実践力を育てる。
 
【生活科】
 
 生活科の目標は,「具体的な活動や体験を通して,自分と身近な人々,社会及び自然とのかかわりに関心をもち,自分自身や自分の生活について考えさせるとともに,その過程において生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ,自立への基礎を養う。」ことである。
 人権教育及び同和教育という観点からは,具体的な活動や体験を通して,身近な人々や社会生活を支えている人々と自分とのかかわりについて気づいていくことにより,一人一人の人権を尊重する態度の育成につながっていくととらえている。
 そこで,本校では指導の重点を次のように考えた。
 
○自分たちの生活とかかわりのある働く人たちの仕事の様子を調べたり体験したりすることを通して,それらの人々と自分とのかかわりに気づくことができるようにする。
 
○自分たちの生活は多くの人々によって支えられていることがわかり,感謝の気持ちをもって生活することができるようにする。
 
○家庭,学校や社会の一員として協力し合いながら意欲的に生活することができるようにする。
 
【道 徳】
 
 道徳教育の目標は,「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため,その基礎としての道徳性を養う。」ことである。
 人権教育及び同和教育という観点からは,児童の人権意識を高め,身近な差別や偏見に気づき,それらを許さず,みんなで解決していこうとする心情や態度,実践意欲などを育てていくことが大切であるととらえている。
 そこで,本校では重点とする内容項目を次のように考えた。
 
〈低学年〉
  1−(3) よいことと悪いことの区別をし,よいと思うことを進んで行う。
  2−(2) 身近にいる幼い人や高齢者に温かい心で接し,親切にする。
  2−(3) 友達と仲よくし,助け合う。
 
〈中学年〉
  1−(4) 正しいと思うことは,勇気をもって行う。
  2−(2) 相手のことを思いやり,親切にする。
  2−(3) 友達と互いに理解し,信頼し,助け合う。
 
〈高学年〉
  2−(2) だれに対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にする。
  2−(3) 互いに信頼し,学び合って友情を深め,男女仲よく協力し助け合う。
  4−(3) だれに対しても差別をすることや偏見をもつことなく公正,公平にし,正義の実現に努める。
 
【特別活動】
 
 特別活動の目標は,「望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図るとともに,集団の一員としての自覚を深め,協力してよりよい生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。」ことである。
 人権教育及び同和教育という観点からは,集団で活動することを通して,みんなで活動することの良さや連帯感を味わい,自他を尊重する精神を養い,身の回りの矛盾や不合理に気づき話し合い,差別や偏見の解消にむけて,実践的に取り組むことができるようにすることが大切である。
 そこで,本校では指導の重点を次のように考えた。
 
○ 集団活動を通して,互いを認め合うこと,課題をみんなで解決していくことの大切さやすばらしさに気づかせ,人権を尊重する態度を育てる。
 
○学校生活や身の回りの矛盾や不合理に気づき,自分の問題としてとらえ,差別や偏見の解消にみんなで取り組もうとする態度を育てる。
 
○高齢者などとの交流を通して,その人達の思いや願いについて理解し,課題解決に向けて自分にできることを見つけて実行しようとする態度を育てる
 
【総合的な学習の時間(ドリームタイム)】
 
 総合的な学習の時間(ドリームタイム)では「自らの課題を見つけることから始まる『自らの問題解決の力』」「生き方への振り返りも含めた『学び方』」を身につけることをねらいとする。
  人権教育及び同和教育という観点からは,問題の解決や探求的活動に主体的,創造的に取り組む学習を通して,他者とのよりよい共生のあり方を求めることや自己の生き方について自覚を深めることなどができるようにすることが大切であ  る
  そこで,本校では指導の重点を次のように考えた。
 
 ○単元の切り口を「郷土・人」とし,出会いを通して,自分の生き方や他者とのかかわり方を考えていこうとする態度を育てる。
 
 ○総合的な学習の時間(ドリームタイム)を各教科・道徳・特別活動などで養った人権意識や課題解決の力を具体的な活動に生かし,より高めていこうとする態度を育てる。
 

(3)成果と課題
 
○同和問題をはじめとする人権問題についての基礎的理解を深めるために,本校では,国語科・社会科・生活科・総合的学習の時間・道徳・特別活動に重点を置いて年間計画を見直した。児童が主体的に取り組むよう関連や 系統性を明らかにして授業実践に取り組んできた。また指導に際して児童の意識の流れを大切 にした指導過程の工夫をし,児童が自ら課題を持ち,解決へ向けて進めるようにした。
 
○授業実践ではグループ学習や話し合いの場面を多く設定することで,自分の考えが友達に伝えられ友達の考えを知って自分の考えが深まりやすくし,お互いを認め合いながら協力して一つ一つの課題を解決できるようにした。また,体験的な活動を取り入れ仲間や教師,地域の人とふれあう場面を設定した授業もあり,子どもたちが意欲的に学習に取り組むことができていた。
 
○全体を通して,一人一人の願いを保障し,お互いが理解し合えるようにということで,「聞く」「話す」ことを指導してきた。    
 
2 集団づくり
 
(1)基本的な考え方
 
 明るく元気で仲良く遊んでいる児童が多いが,中には友達とうまくかかわれない児童や受け入れられない児童も見られる。また,学年が上がるにつれて人間関係が固定化・希薄化し,集団としての高まりが難しくなる傾向が見られる。
 そこで本校では,一人の問題をみんなの問題として考え,話し合って解決していくことを積み重ねていくことにより,一人一人の人権意識の高揚を図っていきたいと考えた。また,学級活動や児童会活動など集団で活動する場面では,集団としてのよさを体感できるような場を意図的に設定することにより,お互いを認め合い支え合う集団としての連帯感を育てたいと考えた。
 そこで,児童の実態や本校のこれまでの集団づくりの取り組みを考慮して,次のように重点を考えた。
 
 ○学級活動や児童会活動の主題や内容を児童の立場から見直し,互いを認め合う場や課題を協力して解決していく場を意図的に設定する。
 
 ○活動に対する振り返りの場を設け,達成感や満足感が味わえるよう教師が支援する。
 
(2)実践事例
 
@学級での取り組み
 
 児童は学校生活のほとんどを学級集団の中で過ごしているので,お互いに認め合い支え合う集団づくりは,学級での取り組みを基盤とする。
 
○第6学年での取り組み
 
ア 学級の実態
 
 本学級(男子21名 女子18名)は,明るく元気のいい児童が多い。男女ともに,ほとんどの児童がいくつかの小グループに分かれており,休み時間は,それぞれ気の合う友達と,楽しく過ごしている。自分のグループ以外の友達を排除するとか,グループ同士が対立するということはないが,グループ内の結びつきが強すぎるため,いつも行動を共にしないと不安な様子がみられたり,誤った行動をしても,互いにブレーキをかけることができなかったりするグループがあるのに問題を感じた。また,総じてグループ以外の人間関係に関してはあまり関心を示さない。そのためなのか,孤立傾向にある児童がいるのだが積極的にかかわろうとはしない。そこには,自分さえよければとか,なにも自分がしなくてもいいのではという温かさの足りない態度が見受けられた。このような,固定化され自己保身だけ重視する友達関係では,ひとりぼっちの友達の痛みを理解しようとしたり,学級集団の中で人権にかかわる問題が起きても,それを自分自身の問題としてとらえようとしたりすることはできにくいのではないかと考えた。
 A児は3年生の時に東京より転校してきた。自分の考えをいつも自分の言葉ではっきり発表することができる。知的な好奇心が旺盛で,知識も豊富だ。児童会の中心で,アイデア・実行力ともに申し分ない。しかし,親しい友達がいない。休み時間はほとんど一人でいる。学習中にA児が発表すると,何かしら白っとしている。A児に積極的にかかわろうとする児童はいない。A児もあえて自分からかかわろうとはしない。当初からそのことが特に気がかりであった。何か大きな問題が目の前に起きているということではないが,A児をとりまくいやな空気とA児と他の児童との距離を感じた。
 いつも笑顔あふれる学級でありたい。友達の痛みをわがごとのように感じ,支え合いながらともに伸びていく学級でありたい。そう願った。そこで,もっと友達とかかわりあえる場を増やすことや,互いの良さを確かめ合ったり発見したりできるような活動に取り組むことが大切だと考えた。また,学級の人間関係にかかわる問題については,いつもみんなで考え取り組むことにしようと考えた。
 
イ 取り組み
 
4月 上旬
 
 学級目標を決めた。どんなクラスにしたいか一人一人が考え,その思いを生かした言葉をみんなで考えた。目標は,『前を向いていこう 協力・努力・全力』に決定した。学級目標は,どんな時にもそこにたちかえって考える学級の根っこのようなものだから,よく分かるところに掲示することになった。そして,学級の雰囲気にあうようにと,掲示係がデザインの原案を作り,みんなで手分けして作った。とても楽しい作業でいいスタートになった。
 
4月 下旬
 
 理科の時間に気体の実験についての考えを発表しているとき,A児が発表すると,B児がグループのまわりの児童に何かをささやいた。以前からそのようなことは何度かあったが,この日は何ともいえず陰湿な感じを受けた。注意深く授業を続けると,また同じようなことが繰り返された。今度はA児も気づいていやな顔をしている。どういうことか,B児に説明を求めると,何もしていないと言う。グループの他のものに尋ねても要領を得ない。授業後,B児を呼びもう一度そのことを正した。今度はB児は素直に自分の非を認めた。A児が発表すると,からかいたくなるという。でも,もうしないと約束する。ちょうどこのころ,家庭科の時間でも頻繁におきていたことを専科の先生から聞いた。A児をとりまくなんとなくいやな空気がこのようにあった。遠足のグループ決めでも,A児が一番最後になった。 
 
5月
 
 6年生として,学年全体として取り組んだ親善体育会が終わりほっとしていたある日,クラスの男子が女子のお腹をける事件が起こった。幸い異常はなかったが,普段仲のいい2人がどうしてそうなったのか事情を聞くと,A菌をつけてきたので追いかけたら,また,しつこくA菌をつけてきた。あんまりしつこいのでけったという。その場で互い悪かったと反省してもう仲直りしたので気にしてないと言う。この話を聞きながら,A菌という言葉を平然というその児童の感覚に驚いた。こちらの全く知らないところで,そのような陰湿な悪ふざけがおきていることにショックと憤りを感じた。緊急に学級活動を開くことにした。はっきりと問題にしたいので,A児にはもしかしたらつらいことにふれることになるかもしれないけど,絶対許すことができないことなのでいいかとこちらの気持ちを伝えて確認すると,前にも何度もあったから気にしていないし,かまわないという。そこで,話し合うことにした。
 
T:お腹をけった事に関しては,互いに自分の非を認め仲直りした。ただ,2人から事情を聞いているとその原因が,A菌をつけたからという。これはどういうことなのか,説明してほしい。このことに関して,自分のしたこと,知っていることすべて話して欲しい。
(長い沈黙の後)
C1:少し前から休み時間に付けられたりすることがあった。だから回りの人に付けかえしたりした。今考えると,悪いことだと思う。
T:何が?
C1:A君のこと考えると,いやな気持ちになるから…。ごめんなさい。
(泣きだす)
(C1は学級のリーダーだ。活動的で信頼されている。その子が正直に発言して泣き出したので,その後はとぎれずに発言が続いた。)
C2:つけたり,追いかけたりするのが楽しくてやっていた。ごめんなさい。
C3:何かよく分からなかった。でも,つけてきたりしたので,つけかえしていた。A菌って今はじめて分かった。悪かった。
C4:わたしは,やってはいないけど,やっているのを見たりしていた。止めればよかった。
T:その時は思わなかったの。
C4:関係ないと思っていた。でも,A君の気持ちを考えると。
 
 全員が自分のしたこと,思っていることを話した。そして,謝罪した。A児の様子が心配だったが,最後まで,しっかりとした面もちで聞いていた。そばにいって,みんなに何か言えるかと聞くと,言えるというので発言させた。ぼくは,気にしていない。もう,しなかったらそれでいいとA児は言った。
 『みんながしてきたことは,A児の心を深く傷つけたいじめである。おかしいと気づいた人が止めないと,どんどんエスカレートしてしまう。二度とこのようなことがないようにしよう。小さいことでも,おかしいと思ったらみんなに伝えよう。それが結局クラスのためになる。』そのような事を確認した。そして,この日,話し合ったことを忘れないようするために,教室の時計の横に,この日の日付5月25日と書いて貼って話し合いを終えた。
 
6月
 
 ゲーム係が提案して,クラス遊びを呼びかけ,全員でドッジボールとバスケットボールを楽しんだ。運動の苦手なA児も楽しむことができた。5月のことが直接のきっかけではないが,このような学級みんなのためになる活動がみられるようになってきた。こちらも,クラス目標を生かせる場づくりとして,社会で実物大の大仏の頭をみんなで作ったり,俳句ビデオを作ったりした。また,4月より相互理解の促進のために,構成的グループ・エンカウンターのエクササイズを実施していたが,6月の共同絵画(無言チームワークゲーム)は好評だった。グループに1枚の画用紙を配り,言葉を一切使わずにテーマに沿った絵を共同で描くエクササイズで,『夏の旅行』というテーマで実施した。後のシェアリングでは,みんな思いを想像しながら描くのはとても楽しかったという感想が聞かれた。友達の思いを察したり,自分の気持ちがどう伝わるか感じたりする貴重な経験となった。その他のエクササイズでも,自分だけでは考えつかなかったことを友達は考えているのですごいとか,普段あまり話さない友達が自分と同じことを考えていたのでびっくりしたという感想が聞かれるようになってきた。人間関係において新しい気づきが生まれていることがうれしく思った。もちろん,A児もそのエクササイズに楽しく参加できていた。
 
7月
 
 A児をとりまく,はじめ気になったいやな空気は格段にへった。同じ生活班のC児は気さくな性格で,給食の時間などにA児とよく話をするようになった。物知りのA児からいろいろ話を聞きだし,その掛け合いがおもしろく,クラスみんなが注目することがたびたび起きるようになった。また,ドリームタイム(総合的な学習の時間)で,テーマが同じになったD児とは,一緒に活動することになり,それがきっかけで,友達の輪が広がりつつある。
 
ウ まとめ
 
 A児をとりまく学級の様子が変わってきた。A児自身も親しい友達ができ,雰囲気がかわってきた。きっかけとなるできごとは,やはり,5月のできごとである。きちんと,学級全体の場に出し,そのことについていったい何が問題で,どうすればよいのかはっきりさせたことがよかったと思う。そして,それが今では学級の財産になっている。これからも,問題だと思われることは,きちんと出し合い,話し合っていきたいと思う。そして,その実践の歩みから,一人一人がより人権意識を高めていき,そして,集団として質の高いものへと伸びていきたい。また,教師自身も子どもに起きている問題を的確にとらえる目をもつために努力したい。
 
○その他の取り組み
 
・2年生の中には,集団の中で,友達とうまくかかわれない児童や,自分の思いを伝えにくい児童が多い。そこで,のびのびと自分の思いを表現でき,お互いのよさを認め合うことのできる集団をめざして,「ミニミニゲーム」や「ぼくわたしのニュース」に取り組んだ。
 班の中でお互いを認め合い,班の連帯感を高めるために班対抗ミニミニゲームを週2回(月・木)行っている。じゃんけんゲーム・しりとりゲーム・新聞ちぎりゲーム・漢字当てゲームなど短時間(5・6分)で簡単にでき,班で協力が必要なゲームをゲーム係と担任で考え実施している。優勝した班には勝因を尋ね,簡単に活動を振り返るようにした。他の班も勝因を聞いて,みんなで協力しないといけないことがだんだん分かってきた。なかなか班にとけ込めなかった児童も次のゲームを楽しみにするようになった。
 「ぼく・わたしのニュース」では,その日の日直がみんなに聞いてほしいことを話し,みんなはもっと聞きたいことを質問する。始めは話すことが見つからず,日記や「今週のニュース」で書いたことを発表していた児童も,前日のおもしろかったことやびっくりしたことなどを言うようになってきた。また,友だちの話を聞くことで,友だちのよさやちがいを知ることができるようになってきた。
 
・1年生では,帰りの会の中で「楽しかったこと」の発表を毎日行っている。
 1年生にとって,自分の生活を振り返ることはなかなかむずかしいが,その日の楽しかったことは,よくおぼえている。中には一緒に遊んだ10数人の友達の名前を覚えている児童もいるし,普段あまりしゃべらない児童が挙手して発表する時もある。1年生にとって友達と楽しく遊ぶことは,人間関係づくりに大きな役割をもっているといえよう。遊んだことを堂々と発表し,他の児童もその発表を聞き「よかったね。」の気持ちで拍手する・・・。「楽しかったこと」の発表を通して,何でも言える学級,友達の言うことに耳を傾けることのできる学級づくりを目指している。
 また,児童の「楽しかったこと」の発表を聞きながら,教師は,児童の交友関係の動きがつかめ,児童が今どんなことに興じているのかも分かる。そして,各々の遊びに対してコメントすることもできるし,友達を誘い合っているグループや,工夫して遊んでいるグループを誉めることもできる。一週間ほとんど発表しない児童や,他の児童のグループに名前の挙がってこない児童には,個別に声かけすることもできる。
 「楽しかったこと」の発表は,「どこで,誰と,何をしてどうだった。」 というワンパターンの簡単なものだが,児童は喜んで発表してくるし,聞く児童も,「何を言うのかな。」と楽しみに聞いている。そして,おもしろそうなことであれば,その遊びが,学級全体に広がることもある。その日一日の楽しかったことを思い出し,みんなに認められて帰路につく児童の心は満たされたものであろうと思われる。
 
・中学年になると,自分のことだけでなく周囲のことにまで気を配ることができるようになってくる。しかし,周りのことを考えることはできても,実際に行動に移すということになると躊躇することが多い。
 そこで,学年当初に学級の係を決めるときに「みんなのために自分ができることはなにか?」という投げかけをし,教師から提示するのではなく,自分たちで必要な係やその人数,係の仕事などを話し合わせて決定させた。
 実際の活動場面では,自分たちで作った係だという思いから,お互いに励まし合って積極的に活動に取り組む姿が見られた。帰りの会では「窓係の人が窓の開け閉めをしてくれるので気持ちがいいです。」や「本係の人のおかげで本棚がいつもきれいです」という,お互いの活動を認める発言が増えてきた。認められた係の児童はますますがんばるので,係活動はますます活性化していく。このようにして,周りの友達のことを考えるとともに,その思いを行動に移すことができるようになってきている。
 4年生では,当番的な活動から,創造的な活動へと発展し,みんなで考えた学級目標の達成のために,どんな工夫ができるか,話し合いて実行できるようになってきた。例えば,「お楽しみゲーム係」は昼休みに全員で遊ぶことを提案し,みんなが楽しめるように,ルールを工夫したり,友達の気持ちを考えて内容を決めたりして,みんなで遊ぶことができた。
また,「掲示係」が,「得意なこと発表コーナー」の提案をしたところ,簡単な工作や,イラスト,4コママンガなどが数多く集まり,得意なことを紹介し教え合う場ができ,クラスのみんなに喜ばれた。このような活動を通して,集団としての連帯感が育ってきていると思われる。
 
・高学年になると,自分の思いを十分文章にすることができる児童や書くこと自体に抵抗がある児童など,表現力に大きな差が現れてくる。本学級でも同様の傾向が見られ,通常の日記の書き方でも,児童の文章力に差が見られる。そこで,友だちの日記を読むことにより,友だちの書き方を参考にしたり,少しでも内容を共有できたりすることと,班の人の気持ちを分かり合い,伝え合うことを目的として,「班こうかんノート」を設定した。班のメンバーは5人程度であり,1週間程度でほぼ一回りできると考えた。
 最初の書き始めで気をつけることとして,「班の人たちとわかり合うためのノートである」,「友だちに伝えたいこと・聞きたいことを書く」,「友だちを悪くいうことは書かない」ことなどを伝え,自分が思っていること,考えていること,気持ちが通じ合えるように書いていくよう励ましながら始めた。
 友だちに聞いてみたいことを質問として書いたり,自分が思っていることを他の人がどう思うか聞いたりする日記や楽しかったこと・うれしかったことを書いた日記が見られた。楽しみながら書いている児童や,枠を作るなど工夫して書く児童も見られた。「班日記がはやく回ってきてほしい」,「書きたいことがいっぱいある」などの声を上げる児童も出てきた。
 ただ,やはり書くことに抵抗のある児童の所ではノートが止まってしまうこともあったり,内容がマンネリ化してしまう場合もある。しかし,書く量にはこだわらず自分の気持ちが少しでも出せるような「班こうかんノート」にしていけるように,担任のコメントにも励ましの言葉を随時入れている。
 この「こうかんノート」により,友達の書き方をまねることで,表現の幅が広がったり,自分の意見を素直に書いたりできる児童も増えてきている。
 
A全校での取り組み
 
 異年齢の集団活動では,学級集団活動では得られない様々な体験が得られる。この活動の場を,一人一人が培った人権意識や課題解決の実践力を発揮する場としてとらえた。そして,適切な支援や評価を繰り返すことを通して,豊かな人権感覚を育て,共に伸びていこうとする態度を育てていきたいと考えた。
 
○児童会活動(チャレンジフェスティバルの実践)
 
 今年度の児童会のテーマは代表委員会で『みんな友達』に決定した。このテーマを基にして,今年度の集会やボランティア活動・各種運動が計画された。全校集会は,年間3回実施する。『チャレンジフェスティバル』,『オリエンテーリング』,『6年生を送る会』本年度は以上の3つである。
 『チャレンジフェスティバル』はとりわけ児童に人気のある集会であり,大切な異学年の交流の場になっている。内容は,係(企画委員会の児童)と職員が協力して,遊びのコーナーを運動場や体育館につくる。他の児童は,ペア学年(1年と6年,2・5年,3・4年)で2人組を作り記録カードをもって遊びのコーナーを回りいろいろな種目に挑戦するというものだ。種目そのものも,魅力あふれるものが多い。「くつとばし」や「豆つかみ」,「声のばし」などの何度も挑戦したいものや,二人三脚や空き缶つみなどの,2人の息をぴったり合わせないといい記録のでないものまでさまざまだ。1時間の実施時間はあっという間に終了してしまった。
 職員はコーナーを担当しながら,よく協力できているペアや,上級生が下級生をいたわっているペアに賞賛の声をかけた。いろいろな場で,思いやりあふれる姿やリーダーシップを発揮している姿など,異学年交流ならではの様子が見られた。とりわけ高学年では,学級では控え目な児童が,温かい言葉かけをしながら積極的に低学年の児童をリードしたり,普段は自分本位の行動が目立つ児童が,相手の気持ちを確かめながら楽しく活動したりした。同学年では発揮しにくい優しい態度が,異学年の活動では,素直な形であらわれるようだ。あらためて,ひとりひとりの良さを感じることができたとともに,日々培ってきた人権意識が生かされていることが確かめられうれしく思った。
 活動を終えた児童は楽しかった思い出,を一緒に活動したペアの友達に手紙(たのしかったねカード)に書いて手渡した。
 優しさいっぱいのカードをもらい,みんなとてもうれしそうだった。活動の場を今一度ふりかえることは,深い満足感を得ることができるとともに,次への活動につながる。さっそく体育委員会が,7月に入って,このペアを生かしたペア遊び集会を休み時間に実施した。暑い時期ではあったが,楽しく活動できた。また,2学期にはこのペア学年を生かした種目を運動会で計画して交流を一層深めることができた。
 
B集団づくり実践研修会での取り組み
 
 年間3回,低・中・高学年の3つに分けて実施する。学級集団づくりの事例を基に研修し,個に応じた指導や評価のあり方を複数の観点から多角的に検証する。そして,今後の方向性を協議し,学級集団づくりに役立てる。
 全教職員の共通理解を図ることに重点を置く場合は,全員での研修会を持つ。
今年度は,より細かい検討や意見交換ができるように,低・中・高の3つの部会で,それぞれの期日をずらして実施している。5月の第一回では,担任外の教師や元担任の意見も聞くことができ,お互いの児童理解を深め,学級集団づくりに役立てることができた。
10月の第2回研修会では,運動会を通しての実践や今までの成果,今後の課題について話し合った。第3回は2月に予定している。
 
(3)成果と課題
 
@いろいろな活動を通して,互いを認め合う場が設定でき,それぞれの活動の終末で,振り返りの場を設けることにより,児童は自分や友達の良さに気づき,達成感や満足感を深く味わうことができた。また,協力して課題を解決していく場の設定についても,それぞれの学級において,継続的な取り組みができた。しかし,児童は課題を課題としてとらえる力が十分身に付いてはいないため,児童の側から問題提起されることは少なかった。今後,児童の人権意識をより高めていきたい。
 
A全校集会でのペア学年交流は,学級集団では得られない様々な体験を得ることができた。とりわけ,上学年の児童は,一人一人がリーダーシップを発揮することができ,下学年の児童の気持ちをうまくくんでやり,一緒に楽しく活動していく中で,思いやりの心が育ったと思われる。下学年の児童も,上学年の児童に親しみを持ち,活動後も,休み時間などに交流している姿が見受けられ,ある程度の成果を上げることができた。
 
B集団作り実践研修会では,各学級の取り組みを互いに報告しあうことによって,指導の方向性がいくつか確かめられた。そして,報告することにより,自身の指導・実践を反省・振り返る貴重な場になった。また,様々なアドバイスを得ることができ,とても有意義なものになるとともに,職員間の共通理解が深まった。
 
3 進路保障
 
(1)基本的な考え方
 
 同和地区児童一人一人が,自らの能力や適正を伸長して,将来社会のあらゆる方面に進出していく基礎となる力を身につけていくことが大切である。
 そのためには,教育課題を明らかにし,教職員の共通理解のもとに,意図的・継続的に指導する必要がある。その際,保育園・幼稚園・中学校との連携とともに,同和地区保護者との綿密な連携が重要であると考えた。
 そこで,地域の実態やこれまでの本校の人権教育及び同和教育の取り組みを考慮して,次のように重点を考えた。 
 
○基礎学力の定着や基本的生活習慣の確立などそれぞれの課題をふまえて朝の帯時間を活用した基礎学力の向上やノーチャイムを取り入れた生活リズムの定着など,個に即した指導の充実に努める。
 
○児童相談を年2回実施して,児童一人一人についての理解を深めたり,全校児童を対象にした生活習慣アンケートやすこやかライフカードにより学習面や生活面の課題を保護者と連携をしながらより明確に把握することに努める。
 
(2)実践事例
 
@基礎学力の向上
 
○個を大切にした授業
 
 本校では,個を大切にした授業をしているが,特に個人差が大きい算数や基礎的な学習習慣を身に付ける第1学年ではTTの取り組みが有効であると考えている。実際にTTの導入により,複数の教員による協力的な指導が可能になり,児童の理解度や思考の過程に応じたきめ細かい指導が可能になっている。
 第1学年では,授業を進める者と個別に支援をする者というように役割分担をしながら指導している。複数の教員が教室にいることで児童の多様な興味関心にも対応が可能となり,児童も楽しく学習に参加できている。
 算数科においては,第1学年,第4学年,第5学年でTTによる指導を行っている。個別指導による基礎学力の充実を図るとともに,学び合う場においても,友達と助け合ったり,考えを発表し合ったりできるように支援している。そのために,授業に必要な提示物などの準備を行ったり,提示の仕方を工夫したりすることによって,楽しく学習できる雰囲気を作っている。また,問題解決の場面においては,具体物の操作をしたり,絵図に表したり,ヒントを与えたりすることによって、児童を自立解決へと導いている。学習の習熟,反復練習についてもドリルやプリント学習などで取り組んでいる。
 
○朝の帯時間の活用
 
 本校では,月曜日から土曜日までの毎朝8時30分〜45分の15分間を朝の帯時間として設定し,全校で一斉に取り組んでいる。内容は国語や算数を中心に実施している。児童の実態に合わせて学年毎に工夫した取り組みを行っている。
 例えば,第1学年では,月・水・金曜日を国語,火・木曜日を算数,土曜日を読書というように曜日毎に教科を設定している。内容は学習の進度に準じ鉛筆の持ち方やなぞりっこ,数遊び等楽しみながら習熟が図れるように工夫している。
 また,第6学年では,国語と算数を3回ずつ設定している。国語は,漢字練習などドリル的なものを中心に習熟を図っている。算数は,学習内容によっては,朝の学習の時間と1校時目を連続して60分授業として行うこともある。60分授業は,作業や操作を伴う学習や内容が難しく理解や習熟に時間が必要な学習などに効果的である。また,15分間で計算練習などドリル的なものを中心に習熟を図る場合もある。授業者が,その時々の児童の理解や習熟の程度を把握し,必要に応じて弾力的に運用している
 
(各学年の取り組み)

第1学年
 

・国語(なぞりっこ,言葉遊び,ひらがなの練習,読み聞かせ,読書)
・算数(数遊び,計算練習)

第2学年

・国語(今週のニュ−ス,漢字練習,したこと発表,読み聞かせ,読書)

第3学年

・国語(漢字練習,音読練習,読み聞かせ) ・算数(計算練習)

第4学年

・国語(漢字練習,読書) ・算数(計算練習)

第5学年

・国語(漢字練習,読書) ・算数(計算練習)

第6学年

・国語(漢字練習)・算数(60分授業)

すこやか学級
 

・国語(読書,漢字やひらがなの練習)・算数(数遊びや計算練習)
 
 
A生活リズムの定着
 
○ノーチャイムの取り組み
 
 本校では,朝と業間と昼休みのみ音楽を流して,授業の始めと終わりにはチャイムを鳴らさないノーチャイムに取り組んでいる。この取り組みは,児童が自らの判断で,自らの行動を決定する場を提供することになり,生きる力を持った児童の育成につながるものと考えている。
 例えば,月1回の児童朝会では,決められた時刻の数分前にはほとんどの学年が揃っていて,後からくる学級を静かに待てるようになっている。高学年になると教師の指示や引率がなくても自分たちで並んで移動し,体育館の窓を開けて待つようになっている。
 また,クラブ活動や委員会活動,清掃活動などでも,決められた時刻以前に職員室に特別教室の鍵を受け取りに来て,進んで準備する姿を多く見かけるようになっている。
 こういった児童の変容を教師が適切に評価し,支援を継続することで生活リズムの定着を図っている。
 
B児童理解と支援
 
○児童相談
 
 6月と10月の年2回児童相談を実施している。児童相談に際しては事前にアンケートをとり,実態を把握している。そして,休み時間や放課後などに面談することで,児童一人一人の思いや願いに気づくことができ児童理解に役立っている。また,この取り組みは,児童や保護者との信頼関係を築く良い機会となっている。
 例えば,最近表情が暗く元気がなかったA君との面談では,「B君となかなか仲良くなるきっかけがつかめない」という話を聞くことができた。そこでB君との面談の時に聞いてみると,A君と仲良くなりたい意志はあるもののそのきっかけを待っている状態であることが分かった。きっかけさえあればすぐにでも仲良くなれる見通しがもてたので,それぞれに声かけをして,みんなで遊ぶ時間を設定してみた。その後は,A君にも笑顔が戻り,二人並んで楽しそうに歩く姿を見ることができた。1学期末の保護者との懇談でも話題となり,保護者からも喜びの声を聞くことができた。     
 児童相談がきっかけで,話題が増えたり児童理解が深まったりして,その後の日記指導や2回目の児童相談に向けて継続した支援を続けていくことができている。
 
○生活習慣アンケート
 
 毎年5月ごろ,PTAの活動として生活習慣アンケートを行っている。この時期に,児童の食生活や生活習慣について実態を把握し,必要な支援を行うことは,基本的生活習慣を身につけて楽しい学校生活を送るために大切である。また,このアンケートは親子で実施することから,家庭における親子のコミュニケーションの促進が図れ,家庭と学校の連携に役立っている。
 アンケートの結果は個別の指導や支援に役立つとともに,学校保健委員会などで報告している。そして,全校児童を通じて保護者にPTA発行の新聞で知らせている。
 この取り組みは,姿勢や歯みがき,手洗いなどの養護教諭による保健のミニ指導につながっていて学級担任と歩調を合わせて継続的な指導に役立っている。
 さらに,2学期,3学期にも各1回ずつ生活習慣アンケートを元にしたすこやかライフカードによる生活習慣調べを実施することで年間を通した取り組みをしている。
 
(3)成果と課題
 
 基礎学力の充実にあたっては,主にTT及び帯時間を活用した。TTについては,様々な形態で行ったが,個人差が大きい算数では,進んだ児童や遅れがちな児童の指導には,個別指導で効果的に行うことができた。帯時間については,短時間に集中的に行うことで着実に力がついている。特に反復学習の必要な計算練習や漢字練習では有効であった。
 児童が生活習慣アンケートやすこやかライフカードを通して,自分の生活を振り返り,課題に気づき,よりよい生活を送っていこうとする意識が育っている。生活面は保護者とのかかわりが大切なので,PTA母親委員会と協力して行うことによって児童の意識が継続し,意欲も高まってきている。
 今後も,学校と家庭との連携を密にし,個に応じた継続的な指導に努めたい。そして,同和地区の児童や保護者の思いや願いを大切にしながら,児童一人一人の教育課題を明らかにし,進路保障の充実を図りたい。
 
4 家庭・地域・学校園間の連携
 
(1)基本的な考え方
 
 本校の人権教育目標である「自他の人権を尊重する精神を養い,同和問題をはじめとする人権問題を解決するための実践力をもつ児童を育成する」ためには,児童の生活基盤である家庭や地域社会との連携が不可欠である。
 そのためには,本校の人権教育及び同和教育についての取り組みについて保護者に理解を得るとともに,保護者自身の同和問題をはじめとする人権問題についての認識を深めるよう啓発していくことが重要であると考えた。
 また,保育園・幼稚園・中学校間の連携を深め,計画的・系統的な指導を行っていくことが大切である。
  そこで,地域の実態やこれまでの家庭・地域連携の取り組みを考慮して,次のように重点を考えた。
 
○人権・部落問題学習の内容を題材にした学習参観日を,各学期に1回全学年で実施する。また,PTA同和教育推進委員会を開いて保護者の人権意識を高める研修内容を検討したりして,より充実した研修会になるよう工夫し,計画的・継続的な取り組みを続ける。
 
○同和地区の保護者との懇談会をもち,児童の課題について話し合ったり保護者の願いや要望を把握したりして,同和地区学習会の指導に生かすとともに,保護者との連携を深める。
 
○保育園・幼稚園・小学校・中学校と連絡会をもち交流を図りながら,人権・部落問題学習や進路保障などの取り組みが一貫したものになるように連携を深める。
 
(2)実践事例
 
@家庭・地域との連携
 
○PTA同和教育推進事業
 
 年3回のPTA同和教育推進事業は,PTA同和教育推進委員を中心に学級懇談で同和問題をはじめとする人権問題について啓発活動に取り組んでいる。
 PTA同和教育推進委員は,事前に同和問題をはじめとする人権問題についての研修を行い,同和問題解決のリーダーとしての資質を高めている。
 
○人権教育及び同和教育の公開参観日
 
 PTA同和教育推進事業に合わせて,全校で人権教育及び同和教育年間指導計画にしたがって授業の公開を行い,保護者の人権問題及び同和問題についての理解と認識を深めている。
 
○PTA同和教育講演会
 
 PTA同和教育推進事業の一環として伊里幼稚園と連携して合同で同和教育講演会を開催している。
 
A同和地区保護者との連携
 
○同和地区保護者との懇談会・家庭訪問
 
 同和地区保護者との懇談会を年3回実施し,家庭訪問をして保護者の願いや要望を聞き,児童の課題や進路保障について話し合っている。
 
○同和地区学習会
 
 同和地区学習会を実施し,同和地区児童の進路保障に努めている。
 
B保育園・幼稚園・小学校・中学校との連携
 
○保育園・幼稚園
 
 保育園・幼稚園とは,新入学児童についての連絡会をもち,同和地区児童をはじめとする全ての児童について進路保障に努めている。また,入学後も1年担任が児童の様子を伝えたり,授業を相互に参観したりして,保育園・幼稚園と小学校の取り組みについて情報交換をしている。
 
○小学校
 
 市内の小学校とは,備前市同和教育研究協議会の理事会などを利用して人権・部落問題学習やPTA同和教育推進事業,進路保障など各校の取り組みについて情報交換をしている。
 
○中学校
 
 中学校とは,6年生が卒業前に中学校へ1日体験入学をしたり,連絡会をもったりして同和地区児童をはじめとする全ての児童について進路保障に努めている。
 また,人権・部落問題学習の授業を相互に参観したり,同和教育主事が随時連絡を取り合ったりして取り組みが一貫したものになるよう努めている。
 
(3)成果と課題
 
 本校では,年間3回PTA同和教育推進事業に向けて,事前にPTA同和教育推進委員会を開いて研修会を実施し,同和問題解決のリーダーとして,他の保護者の方に講演会や懇談会に積極的に参加するよう呼びかけていただいた。その結果,多数の保護者の方が参加してくださり,お互いの人権意識の高揚が図れた有意義な会となった。
 また,同和地区保護者との懇談会では,同和地区学習会の運営や児童の学校生活の様子等,多方面にわたる保護者の方の思いや願いを聞かせていただくことができた。
 今後も,伊里学園として保育園・幼稚園・小学校・中学校との連携を図り,人権・部落問題学習や進路保障の取り組みが一貫したものになるようにしていきたい。